【書評】『書くための勇気 – 「見方」が変わる文章術』(川崎昌平)

書きたい、でも書けない。執筆に恐怖を感じることはありますか?私は、あります。

しかし現在、このように記事を書いています。なぜ、どうやって恐怖感を抑えているのか?それは、今回ご紹介する本が背中を押してくれたからです。

書くための勇気 – 「見方」が変わる文章術』という本をご存知でしょうか?著者は編集者/作家/漫画家として言葉を伝え続けている川崎昌平氏。

フィルムアート社から2016年に出版された『はじめての批評 – 勇気を出して主張するための文章術』の増補改訂版でもあるこの本では、著者の長年の蓄積から得た文章術を86個に厳選、一挙公開しています。

「調べたらわかる」ことはここまでにして、書名である「書くための勇気」へ繋がる文章術とは何なのか?2つの要素が挙げられています。

①批評性を意識する
『はじめての批評』の増補改訂版でもあるこの本では、「批評」に重点を置いています。「批評」は、自分の考えを伝える基本的な行為であり、文章を書く上では批評対象の価値をしっかりと理解しなければなりません。

②言葉を鍛える
語彙を増やして文章の質を高めることも大事であり、その語彙は、相手を大切にしようとすれば自然と増えていくとのこと。

この2つの要素を中心に「強い文章を書く技術」について、様々なテクニックが取り上げられています。

【目次】
はじめに
第1章 書く理由/批評の意味
第2章 言葉を考える/批評の準備
第3章 言葉を届ける/批評を書く
第4章 言葉を磨く/批評を練る
第5章 言葉を続ける/批評を貫く
おわりに

これらをこなしていけば、文章を書く上での自信が身につくかもしれません。けれども、それはテクニックをこなすだけで、得られるものなのでしょうか?私は当初、疑問に思いました。

テクニックをこなす他にも性格など、生まれ持った性質も関係しているのでは。気が弱い私では、いくらテクニックをこなしても、書けないのではないだろうか。

ところが、この本を読んでいくうちに私の中で、ある感情の萌芽が見られました。取り上げられている文章術に触れることで胸が熱くなった私は、そこから「この本の魅力を誰かに伝えたい」という感情が芽吹いたのです。

強い文章を書く技術は自信を与えてくれると同時に、批評対象の価値をしっかりと理解するという過程を経て「伝えたい」という意欲を高めます。これらが組み合わさり勇気となることで、執筆する姿勢の後押しとなりました。

ネットの普及は、執筆のハードルを下げると同時に多くの読者も生みました。中には心ない言葉を浴びせてくる方もいるかもしれません。

その中で、なかなか書き出せない、または上手く書けないと悩む方がいましたら、この本はきっと勇気を与え、背中を押してくれるはずです。

まだまだ私も恐怖感は抜けていません。ですが、書いていこうと思います。