今回ご紹介するのは『小説の神様 – わたしたちの物語』です。
この本は、相沢沙呼先生の『小説の神様』を題材としたアンソロジー。
収録作品はどれも『小説の神様』に関連した物語ですが、その度合いには差があります。しかし、どの作品にも共通して作り手の「小説」への想いが込められていました。
参加作家は、
- 降田 天「イカロス」(萩野 瑛と鮎川 颯の共同ペンネーム)
- 櫻いいよ「掌のいとしい他人たち」(『図書室の神様たち』など)
- 芹沢政信「モモちゃん」(NOVEL DAYSリデビュー小説賞『絶対小説』など)
- 手名町紗帆「神様への扉」 ※マンガ(『小説の神様』コミカライズを手がける)
- 野村美月「僕と“文学少女”な訪問者と三つの伏線」(“文学少女”シリーズなど)
- 斜線堂有紀「神の両目は地べたで溶けてる」(『不純文学 1ページで綴られる先輩と私の不思議な物語』など)
- 相沢沙呼「神様の探索」(『小説の神様』原作者)
- 紅玉いづき「『小説の神様』の作り方—あるいは、小説家Aと小説家Bについて」 ※エッセイ(『現代詩人探偵』など)
と、豪華な顔ぶれ。収録作品は短編小説だけでなくマンガやエッセイ(?)など。
野村美月先生が手がける作品には、“文学少女”こと天野遠子先輩が登場します!
— 小桜店子🌸✒️📖 (@tanako_kozakura) May 21, 2020
野村美月先生のnoteでは、アンソロジー参加記念の書き下ろしSSも公開中。収録作品の裏話であると同時に、かつての読者は心を射抜かれる作品になっています。
『小説の神様』アンソロジー参加記念SS『“文学少女”な奥さんの世界一のごちそうは?』|野村美月|note
野村美月『僕と”文学少女”な訪問者と三つの伏線』
ある日、千谷一也が黄昏の部室で出会ったのは、”文学少女”を名乗る女性でした——。
時の流れというものを実感します。
僕はかつて、野村美月さんの『”文学少女”シリーズ』を読んで影響を受け、そのレーベルに長編ミステリを投稿したことがあります。— 相沢沙呼@コミックス『小説の神様』発売中 (@sakomoko) April 22, 2020
相沢沙呼先生はかつて“文学少女”シリーズに影響を受けて、ファミ通文庫に長編ミステリを投稿したそうです。二次選考で落選するも、その作品を改稿し、あらためて本格ミステリの賞に投稿したのがデビュー作の『午前零時のサンドリヨン』とは驚きです。
作家、編集者、読者、投稿者、書店員、みんな懸命に生きているのは、「小説の神様」を信じているから。どの作品を読んでいても、胸が熱くなりました。
なぜなら、どの作品にも共通して作り手の「小説」への想いが込められているからです。そうした想いは、私にとっての「小説の神様」なのかもしれません。
これからも、この本のように神様が宿る作品を読んでいきたいです。